血圧高い、それ遺伝だから仕方ない?
「父も血圧が高かったから」「東北の生まれだから」,外来で血圧が高くて来られる方の多くが、遺伝だからと決めつけていることがほとんどです。若くして高血圧を指摘されたり、降圧剤を複数飲んでいるけど、血圧が下がり切らない人は、是非とも二次性高血圧のスクリーニング検査を受けましょう。
二次性高血圧のなかでも最も多いのが、原発性アルドステロン症です。過去の報告を見ても高血圧患者の数%から10%はいると言われています。
当院で行ったスクリーニング検査の採血(2015年6月開院以降の集計)にて、原発性アルドステロン症疑いとなり、その後大学病院で確定診断に至ったケースは8名で、20%を占めます。
副腎から放出されるアルドステロンというホルモンは、尿細管や大腸に働いて、ナトリウムや水の再吸収を促し、カリウムの排泄を促進します。その結果、過剰に放出されると血圧が高くなるのです。
またアルドステロンが過剰に産生されることで、血管内皮障害や心筋肥大を来すことが判っています。原発性アルドステロン症では、本態性高血圧患者よりも脳卒中は4.2倍、心筋梗塞は6.5倍合併しやすいと言われています。
スクリーニング検査は午前9時に来て頂き30分臥床後に採血を行います。その時点ですでに降圧剤を内服しているひとでは、結果に影響しない降圧剤にあらかじめ変更が必要になります。
採血ではアルドステロンとレニンの比をみます。通常ではこの2つは並行して動きますが、原発性アルドステロン症では、アルドステロンが高くなると腎臓からでるレニンというたんぱく質分解酵素が抑制されて低下します。
アルドステロンが過剰に産生される原因としては、副腎の片側性に存在する腺腫か、両側の過形成によることが考えられます。片側性の場合は手術による摘出術を行い、両側性の場合には、抗アルドステロン薬による薬物療法を基本に血圧コントロールをしていきます。
令和3年1月5日