誰も知らない! 高齢者に多いてんかん
てんかんというと、子供の病気と思っている人が 多いと思います。しかし、高齢化社会になるにつれて、高齢者で発症するてんかんが多いことが判ってきました。特に60歳以降の初発患者さんが増えていることがグラフからも明らかです。
そして、「てんかん」と聞くと、泡を吹いて意識がなくなり、倒れるイメージを持つ方が多いと思います。しかし、高齢者のてんかん発作では、倒れることがむしろ少ないのです。初期の頃は動作を止めたり、立ち尽くすだけのことがあります。さらには、旅行に出かけた事などのエピソードを忘れることがあり、認知症と間違えられることもあります。
徴的なこととして、口部自動症と言って、口をもぐもぐ動かしたり、ガムを噛むようにくちゃくちゃしたりすることがあります。中には手をモゾモゾ動かす人もいます。この動作をパーキンソンニズムと捉えるとやっかいなことになります。反復する症状が、症状の波と間違えられ、夜間の発作、前頭葉由来だど激しい動作の自動症となり、レム睡眠行動障害と診断されてしまいます。そこに持続する認知機能低下が重なると、臨床診断はレビー小体型認知症になってしまいます。
さらに問題なのはアルツハイマー病をはじめとする認知症は、脳血管障害全般よりも合併する危険率が3倍ほど高いのです。
認知症に使われるアセチルコリンエステラーゼ阻害剤は、てんかん発症の閾値をさげます。筆者もアリセプトを増量した際に、側頭葉てんかん症状が出現した認知症患者さんの経験があります。てんかんを疑う場合には、積極的に脳波検査を行うことが重要です。またレビー小体型との鑑別のために、ダットスキャンやMIBG心筋シンチ検査も必要になります。
平成29年12月27日