ロタウイルスによる胃腸症状、大人も注意!
乳幼児に急性の胃腸炎を起こすロタウイルスが広がっています。国立感染症研究所によると、4月23日までの1週間に報告された患者数は1医療機関当たり0.84人で、4週連続で増加しています。
年間の患者数は約80万人、入院者数は約7〜8万人に及ぶと推計されており、亡くなる方もいます。
ロタウイルスは感染力が非常に強く、約5歳までにほぼ100%のヒトがロタウイルスに一度は感染すると考えられています。そのため、繰り返し曝露されてきた大人は免疫を獲得し、一般的には発症しないと考えられてきました。
しかし、大人でも発症することが判り、近年では集団感染事例や食中毒の報告事例もよくあります。
特に一旦獲得した免疫力が低下する高齢者や免疫不全の人はより注意が必要です。感染すると潜伏期1〜2日を経て、下痢、発熱、嘔吐、腹痛と言った消化器症状を発症します。
発症者の糞便1g中には1012個のウイルスが含まれ、そのうちの10〜100ウイルスで新たに感染を起こすほどの感染力があります。環境での生存期間も長く、2ヵ月近く生きていることもあります。エンベロープを持たないウイルスのため、消毒薬に抵抗性があり、ノロウイルス同様に次亜塩素酸での消毒が必要になります。その消毒法は、かがやきニュース(2016年1月8日)を参考にしてください。
嘔吐や下痢症状を緩和するために薬を用いますが、ウイルスそのものに対する根本治療はありません。乳幼児も高齢者も消化器症状に伴う脱水症状を治すことが重要です。重症の場合は点滴が、経口摂取が可能な場合は、経口補水塩(ソリタ-T 配合顆粒2号、OS-1、乳幼児で飲めない場合はソリタ-T配合顆粒3号、アクアライトORS)を飲んでもらいます。
平成29年5月8日