血糖コントロール重要!認知症予防
糖尿病の人はより認知症になりやすいことは、これまでも海外の複数の研究から判っています。最近の日本での久山町の研究結果でも、空腹時血糖値126mg/dl以上の糖尿病患者(点線)において、アルツハイマー型認知症が1.41倍に、食後2時間値が200mg/dl以上(実線)では3.42倍まで危険度が上がります。脳血管性認知症も食後血糖の高い人では、発症危険度が増すことも示されています。
海外の報告(ロッテルダム研究)では、インスリン治療が必要な糖尿病患者では、アルツハイマー型認知症発症危険度が4.3倍という報告もあります。糖尿病に起因する動脈硬化などの血管性の原因以外にも、高インスリン血症やインスリン抵抗性、糖毒性、酸化ストレスなどが合わさって、認知症を発症させやすくしていると考えられています。さらには糖尿病独自の認知症があることも判っています。
アルツハイマー型に特徴的な海馬や側頭頭頂葉外側部の萎縮がなく、側頭葉内側などの萎縮が目立ちます。糖尿病性認知症は、糖尿病罹病歴が長く、HbA1cが高い傾向があります。症状としては、記憶障害よりも注意力の障害が出やすいと言われています。発症予防に重要なことは、血糖コントロールです。高血糖にならないことはもちろん、日内変動にも注意が必要。そして高齢者の場合、特に低血糖にも注意が必要です。低血糖症状に気が付きにくく、発症すると遷延し、意識障害に至るケースがあります。先日、高齢者のための血糖管理目標が発表されました。
患者さんの健康状態・ADLで分類して、目標となる HbA1cを決めています。さらに低血糖を来しやすいインスリン療法やスルホニール尿素剤(グリミクロン,オイグルコン,ダオニール,アマリール)などの治療薬の使用状況も加味されています。今一度、ご自身の血糖管理を見直してみましょう。
平成28年6月7日