痛風でないからと高い尿酸値放置は危険
30歳以降の男性の3割程度に及ぶ高尿酸血症、その結果、男性における痛風の生涯罹患率は数%以上と考えられます。エジプトのミイラにも痛風結節が見られたことは有名ですが、食生活が豊かになり、より高尿酸血症は起きやすく、痛風関節炎などの合併症発症の危険性が増します。
高尿酸血症で誰しもが心配するのが、激烈な痛みで知られる痛風関節炎(痛風発作)です。
初発の関節炎の場合、70%が足の親指の付け根に生じます。90%は足関節より末梢(足のゆび側)に発症します。痛みがあるときに尿酸を下げる薬を始めたり、薬の量を増やすことはより痛みを悪化させます。まずは消炎鎮痛剤(NSAIDs)のパルス法もしくは、短期作用型の鎮痛剤の通常量を3時間おきに3回まで服用することで多くの場合は痛みが治まってきます。
以前から高血圧を合併した高尿酸血症は心血管疾患のリスクが高いことは知られていました。そして今年の2月に日本人における尿酸値と心血管疾患の大規模なプール解析の結果が発表されました。
ハザード比(その時点での発生率の比)のグラフを見ると最も尿酸値が高いグループは低いグループと比較して、男性で1.28倍.女性で1.51倍、心血管死亡率が高いことが判りました。
また尿酸値が1.0増加することで慢性腎臓病の発症リスクが1.22倍増加すると言われています。
まずはバランスの取れた食生活を基本(野菜や海藻を摂ることで尿酸を溶かしやすくします)として飲酒制限、十分な水分摂取と有酸素運動が重要です。清涼飲料水やジュース中の果糖は尿酸値を上げますので、摂りすぎには注意してください。ただし、血清尿酸値が9.0mg/dl以上はもちろん、8.0以上でも尿路結石、高血圧、糖尿病、虚血性心疾患、腎障害、メタボリックシンドロームがある人は内服治療が必要になります。
平成28年4月25日