俺は病院には行かん!受診拒否への対応
「どうしたら病院を受診してくれるのかしら?最近、言うことがおかしい、覚えていないみたい。」当院の認知症サポート外来にも同様の相談があります。「ほんとうに頑固、困ってしまう。」性格だからと放置していて、取り返しのつかない事故や事件、迷惑行為などに及んでしまうことがあります。。
受診を拒む理由には、表に出ている心理や態度の裏に、深層心理や思いもかけない病的な徴候が潜んでいます。
プライドを維持しようとするほど孤独感が高まり、一貫性に固執する結果になります。本人が不安を抱えていても、病人扱いされていると、より自分を守ろうという姿勢に拍車がかかります。場合によっては、病態を把握できていなかったり、前頭側頭葉変性症で認められる徴候が潜んでいることもあります。今までに発揮しなかった才能に目覚めた、まるで時刻表のような生活を始めた。一見、喜ばしいことのようですが、すでに病気が始まっており、進行にともない他人の気持ちを推察する能力は失われていきます(社会的認知障害)。家族が心配していることを理解し、それまではできていた自分の行為の修正が、できなくなってしまいます。
なるべく早期から医療、介護、そして社会との絆を作っていくべきです。まずは日頃からのご本人への接し方には気を付けましょう。
「俺は俺、自分でなんとかする!」という孤立を防ぐよう家族全員で物事を相談する雰囲気を築きましょう。年齢とともに視力や聴力が落ちるように、記憶力も低下します。その度合いを健診の際に併せて評価することが大切です。経過を追っていくことで、早期発見もさることながら、本人の自覚、受け入れの姿勢をはぐくんでいくことができます。
受診拒否が強くて家族だけで解決できない時は、認知症サポート外来で相談してみましょう。認知症のタイプ、家庭の家族構成などによって対応が違います。一緒に解決策を見出しましょう。
平成28年3月24日